<シガレット・フレーバー>





・secret・・・

「…あれ?」

オレのテーブルの上にアンジールのタバコ。

昨日オレの部屋に来た時に忘れていったのかな…

少しくしゃっと潰れたソフトパックのそれを手に取ってみると、まだ中身は半分以上残っていて、ライターも入っていた。

一本拝借して口に銜える。

アンジールって、いつも自分はタバコ吸ってるクセに、オレも吸ってみたいって言うと反対するんだよな。

「おまえには似合わない。」って。…なんだよそれ。

思わず周りをキョロキョロしながら…オレは好奇心に任せ、タバコに火を着ける。

シュボ……

スウッと煙を吸い込む。

「ケホッ…、にがっ……」

初めて吸ったタバコの味は、苦かった。

…けど、それはアンジールのキスの味に少し似ていて。

オレは自分の唇を指でなぞる。



彼が恋しい。



アンジール、早くタバコ取りに来てよ……



end






・thereafter・・・〜その後
「すまん、ザックス。俺タバコ忘れて行かなかったか?」

アンジールがザックスの部屋を訪ねる。

「あ!アンジールーーー!!」

ザックスはアンジールに抱きつくと、そのまま がぶり と音がしそうな勢いで彼の唇を奪う。

━━━━━チュポン…!
「っはあvアンジール、オレずっと待ってたんだぞ!!」

キスで潤んだ瞳で濡れた唇を尖らせながら、こんな可愛い事を言う腕の中の恋人は、アンジールにとってどうやっても誘っているようにしか見えなくて。

「随分と今日は情熱的だな……」

今度はアンジールがザックスの唇を奪う。

「あ…ん、ふっ……」

互いの舌をチュク…チュク…と絡ませるアンジールの濃厚なキスにザックスの腰は力が抜け、いつのまにかアンジールに全てを任せるような姿勢になっていた。

「今夜は……覚悟するんだな。」

「えぇっ…!?」

アンジールにそう言われ、押し倒されながらも、ザックスは「やっぱり同じタバコの味でもアンジールのキスのは甘いなぁ…」と、再び降ってくるキスに満足しながら目を閉じた。

これから始まる事を内心期待し、躰を熱くして……

end





>モドル